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番外編 彼とデート
「最近よく思うことがあるんだ。なんでひとはシェドやまゆこに心酔し、神として崇めるのか。俺にはただの悪党にしか見えない」
「人は法のもとでは平等で、宗教の自由ってもんがあるからな」
蜂谷さんと青空さんは一列に並ぶ車のドライバーと同乗者を鷹のような鋭い目で前から一台ずつ確認していった。最後尾の赤い車に二人の目が止まった。
「お茶会にいた女がいるな」
「ハチも気付いたか」
「妙にそわそわしてないか?視線も定まらない。汗もだいぶ掻いているようだ。オヤジ、姐さん俺らが盾になる。車に向かってください」
二人とも耳も目もいい。相手の唇の動きを読みとることだって出来る。
「未知行くぞ」
彼がそっと手を握ってくれた。
「遥琉さんとデートが出来て嬉しかった。連れてきてくれてありがとう」
「次は駅前でデートだな」
「うん、楽しみにして待ってるね」
「おぅ」
彼がにこっと微笑んでくれた。
「離れないようにしっかりと手を握ってろよ」
「うん、分かった」
大きく頷き、ぎゅっと握り返した。
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