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番外編 若林さん
「若林何かに逃げられたぞ」
「え?何かって何?」
青空さんに言われてようやく気付いたみたいだった。
「元カレからの預かり物。なかなか取りに来ないんだ。捨てようかと思ったんだけどバチが当たりそうで捨てるにも捨てられなかったんだ。卯月さんや菱沼組の皆さんなら持ち主を調べられるかな、そう思ってポケットに入れてきたんだ」
「ソファーを動かすぞ。手が空いている者は手伝ってくれ」
蜂谷さんが一声掛けただけで応接間に入りきれないくらい若い衆がすぐに集まってくれた。
青空さんにひょいとお姫様抱っこをされた。
「あ、あの……青空さん……」
無表情で見下ろされ、下ろしてくださいとはさすがに言えなかった。
「危険を察知した。姐さんは小さいから見えないだろう?何かあってからでは遅い」
「う、うん。そうだね。ありがとう青空さん」
笑顔で答えたつもりだったけど、顔はかなりひきつっていたと思う。
ソファーの下から見付かったのは小さな鈴がついたお守りだった。ここからは遠くてよく見えなかったけどどうやら手作り品みたいだった。
「なかに何かが入ってるんだけど、怖くて見れないんだ」
蜂谷さんはお守りを手で触って、感触を確かめていた。
「借りてもいいか?」
「返さなくていいから蜂谷さんが持ってて下さい。もし持ち主が分かったらその人に渡してください」
「分かった」
蜂谷さんが胸ポケットにそっとしまった。
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