2260 / 3262
番外編 死ぬまでずっーーと一緒だ
「どうせ長くは生きられないんだ。生き恥を晒してまでは生きたくない」
九条さんは何度も病室の窓から飛び降りようとしたけどそのたびにお祖父ちゃんと度会さんに止められた。
「そうかもしれないが死んでどうすんだ」
「人生はこれからだろう」
思いとどまるように必死に説得した。
それから数日後。
警察から戻ってきた朔久さんの遺体はその日のうちに荼毘にふせられた。
「儂より背が高かったのにな。こんなにも小さくなるなんて……」
九条さんは泣きながら骨壺を抱き締めた。
惣一郎さんのところで九条さんは残された人生を過ごすことになった。
末期の胃ガンでステージ四。九条さんは余命宣告を受けていた。そのことは自分の胸にしまいこみ誰にも言わなかった。自分は朔久さんより先に死ぬ。そうなると鷲崎さんや組のみんなに迷惑を掛けることになるからと、植物状態の朔久さんを車椅子に乗せ病院から連れ出して無理心中を図ったのだった。
ー叔父貴、まゆこと誉の呪縛に縛られることはもうない。これでやっと楽になれる。ありがとう。自由にしてくれてー
「誰も信じてもらえないが、最後の最後に朔久は幸せそうに微笑んでくれたんだ。だからすぐにあとを追うから三途の川で待ってろ。一人では地獄には行かせない、そう朔久に言ったんだ」
九条さんはまた借りができたな、小さく呟くと彼やお祖父ちゃんたちに深々と頭を下げた。
ともだちにシェアしよう!