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番外編 青空さんVS宋さん

「たく、どうしてこうも変態揃いなんだ。まともな男はいないのか」 やれやれとため息をついていたら、 「オヤジ、樋口さんがエントランスで待ってますが」 若い衆が彼を呼びに来た。 「会う約束をした覚えはねぇぞ」 「火急の用事みたいです」 「結か四季に何かあったのか?そうか。分かった。すぐに向かう」 彼が片手でお握りを頬張りながら、もう片方の手で背凭れに掛けてあった上着を取ると肩に担ぎドアに向かった。 「ふたりに樋口のことを紹介しようと思っていたんだ。一緒に行こう」 覃さんと宋さんと肩を並べて歩きだした。 僕も家に帰ろうとしたら、宋さんがなぜか戻ってきた。 「宋さんどうしたんですか?」 「肝心なものを忘れた」 なんだろうと首を傾げて見ていたら、まっすぐテーブルに向かい紙袋の中からお握りを二つか三つ取ると素早くポケットの中に入れた。 「宋、泥棒の真似をするな」 青空さんに咎められると、 「未知さんが折角作ってくれたんだ。残すなんて勿体ない。ご飯を粗末にしたらそれこそバチが当たるだろう」 にやりと笑うとお握りをぽんと一つ青空さんに渡した。 「白いご飯が食べれる。これほどの幸せはない。卯月と未知さんに感謝だ。青空、ここで再会出来たのも何かの縁だ」 「俺は会いたくなかったぞ」 青空さんと宋さんは顔馴染みみたいだった。

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