2281 / 3261

番外編 色恋沙汰に疎い蜂谷さん

「鞠家さんの頬っぺが赤かったのって歯が痛くて腫れたんじゃなくて、那和さんに平手打ちをされたからなんだ」 「やけに現実的な夢だなって、変だなっては思ったんだ。ダーリンってどっちかといえば奉仕されるのが好きなの。だから滅多には……」 そこで言葉を一旦止めるとぱくんとミニパフェを一口頬張った。 ヤスさんが業務用のバニラアイスと傷んで売り物にならないフルーツを捨てるのももったいないからとわざわざ持ってきてくれた。子どもたちが家にあったお菓子とトッピングしてマグカップでミニパフェを作ってくれた。 「だからねいつもと違うから嬉しくて。もっとなんておねだりしちゃった。そしたら……」 「ちょっと待って!ストップ!」 紗智さんすごい勢いで吹っ飛んできた。 「紗智こそストップ。足元にここちゃんとたいくんがいる。間違っても踏まないでよ」 太惺と心望はごろんと寝転がり、タオルで顔を隠しキャキャとはしゃぎながらいないいないばぁ遊びをしていた。 「それ洗おうかと思っていたタオル。かごに入れておいたはずなのになぜか失くなっていたんだ。やっぱり犯人はたいくんとここちゃんだったんだね。ねぇ、ねぇ、それもう一週間洗ってないんだよ。そろそろ洗わないとお腹痛い痛いになるよ」 「紗智、今取ったら泣かれるよ」 「お昼寝したら回収してすぐ洗う」 「それがいい。あれ?何を話していたんだっけ」 「なんだっけ?」 顔を見合わせるなりぷぷっと笑う二人。

ともだちにシェアしよう!