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番外編夫婦喧嘩

「パ、パ~~」 太惺がむくっと体を起こした。 「パ~~パ」 心望もにこにこ笑いながら起き上がった。 (え?嘘) ぎくっとして振り返ると彼が真後ろに立っていたから腰を抜かすくらい驚いた。 「鞠家はバカがみっつつくくらい真面目な男だ。紗智が待っているんだ。早く帰ってやれと言っても、毎日夜遅くまで組事務所に残り仕事をしている。反省しているから茶化さないでしばらくそっとしておいてやろう。紗智、心労を掛けてごめんな。鞠家がなるべく早く家に帰れるようにするにはどうすればいいか、柚原とハチと話し合っているからもう少しだけ待っててくれ」 「新入りなのに、いきなりナンバー2に指名されたんだもの。相当頑張らないと他の者に示しがつかないって高行さんが言ってた。覚えることもたくさんあるから大変だって。今回は那和だから許した。他のひとだったら絶対に嫌だからね、酔っ払って記憶がないは理由にならないからね、高行さんにはそう言った」 紗智さんが上唇を噛み締めた。 タオルを握り締め彼に向かってあんよしていた太惺と心望の足がピタリと止まった。 「たいくんとここちゃん慰めてくれるの?ありがとう」 二人にタオルをどーぞと差し出した紗智さん。ずずっと鼻水を啜りながら受け取った。

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