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番外編 たまには夫婦喧嘩も悪くない。だってマーに甘えられるから

その光景が目に浮かんできてぷぷっと笑うと橘さんも同じタイミングで笑っていた。 「橘さん、僕に用事があったんですよね?」 「チカさんから電話がありました。二日ほど有給をもらい仕事を休むそうです」 「また襲われるんじゃないか、怖くて一人ではいたくないチカちゃんの気持ち、痛いくらい分かります。アパートにだって帰りたくないはずです。みんな忙しいからどうしよう。蜂谷さんには青空さんがいるし、鞠家さんも柚原さんも動けない。森崎さんは久弥さんがいるし。駄目元で根岸さんと伊澤さんにチカちゃんを迎えに行けるか頼んでみます」 「一番の適任者かも知れませんね。ではお願いします。未知さん、足痛くないですか?痺れてませんか?」 「紗智さんと那和さんの幸せそうな寝顔を見ていると僕まで幸せな気持ちになれるんです。それに紗智さんがこんな風に甘えてくれること自体滅多にないので」 柔らかな髪をそっと撫でた。 「自分はお兄ちゃんだからと我慢して、いつも弟たちに未知さんを譲ってますからね」 橘さんがお腹を冷やすといけないからと、タオルケットを持ってきてくれて。みんなの体に掛けてくれた。 ささやかだけど幸せな時間がゆったりと流れていった。

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