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番外編 チカちゃんお帰りなさい!
たいくんとここちゃんは大好きなままたんとぱぱたんを独り占め出来てご満悦の様子だった。盆と正月がいっぺんに来たように賑やかなのにも関わらず陽葵はすやすやと熟睡していた。
「チカちゃん、怪我したところ、本当に大丈夫なんですよね?本当に掠り傷なんですよね?」
「どうしたの未知」
「爪に毒が仕込まれていたんじゃないかって心配で。何も手につかなかったんです」
「病院でちゃんと薬物の検査をしてもらってなんともなかったわ。もぅ、未知は心配症なんだから」
「だってチカちゃんは僕にとって大切なひとだもの。弓削さんだけじゃなく、チカちゃんまでいなくなったら、そう思うと……」
体が急にガタガタと震え出した。
「サンキューね、未知」
気付いた時には、おひさまみたいにぽかぽかとあたたかくて心地いい温もりにすっぽりと包み込まれていた。
「あーー!チカ、てめぇー!」
彼の悲鳴が聞こえてきて。
チカちゃんから慌てて離れようとしたけれど、
「千里の妹はアタシにとっても妹も同然。独り占めはダメ。許しません」
あっかんべーをすると、さらに強い力で抱き締められた。
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