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番外編 チカちゃんお帰りなさい!

自分も男だから男が怖いなんて言っても全然説得力がないんだけど、とにかく今は一人ではいたくない。暗い部屋は怖いからもっとやだ。チカちゃんは組事務所で那和さんやヤスさんらと酔わない程度に酒を嗜みながら、いろんなことを語らいながら共に夜を明かしたみたいだった。 僕は、というと……。 彼が一晩中離してくれなくて。頭のてっぺんから足の爪先まで、身体中、それこそ隅から隅までキスをされた。 「ねぇ、遥琉さん」 眠気と戦いながら、とろんとした目で彼を見上げた。 「チカちゃんが無事で良かった」 「そうだな」 額の髪を指で払うと、ちゅっと軽く口付けをされた。 「国井さんね、側にいてやれない自分を責めていたんだ。だから……」 「マトリは慢性的な人手不足らしいぞ。国井も年に二回、春と秋には配置替えがあるからな。ソタイにいつまでいれるか分からないと言ってた。今は無理でもいつか二人が一緒に暮らせるように祈ってやろう。おしゃべりはそのくらいにして、そろそろ寝ようか?」 優しい微笑みが向けられ、そのままそっと抱き締められた。 「うん、分かった」 広く温かな胸に包まれ、頬を染めつつそっと身を委ねると、頬への柔らかなキスのあと、彼の大きな手が髪を優しく撫でてくれた。

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