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番外編 チカちゃんお帰りなさい!

「口封じのために、トリカブトの毒をチカに飲ませ殺すつもりだったらしい」 彼がスマホを検索しトリカブトが何か見せてくれた。 「容疑者の男は一貫して完全黙秘だ。身元を示すものは一切所持していなかった」 「例えば、青空さんみたく体のどこかに刺青をしていれば、手がかりになる?」 「なるかも知れないな」 那和さんとチカちゃんはソファーに座ったままの格好で寝ていて、風邪をひいたら大変だからと青空さんとウーさんが手分けしてナオさんの部屋に運んでくれた。 幼稚園バスを見送り、そのまま菱沼金融に顔を出した彼。 「俺みたいな刺青男?」 「そうだ。聞いたことはないか?」 「急に聞かれてもな」 青空さんが首を傾げたまさにその時、ドーンとものすごい音がして建物が揺れた。 亜優さんがパソコンを抱え、素早く机の下に潜り込んだ。 「地鳴りが聞こえなかったから地震じゃねぇな。となると隣のビルに車が突っ込んだか」 彼の読みは見事に的中していた。 「通勤通学の時間帯だ。巻き込まれた歩行者がいないかまずは確認しろ。ハチ、青空、どさくさに紛れてネズミが潜り込むかも知れない。未知と子どもたちを頼んだ。伊澤はここに残り亜優を守ってくれ。根岸、行くぞ」 テキパキと指示を飛ばすと上着を颯爽と羽織り根岸さんと、すぐに駆け付けた鞠家さんと慌ただしく外に向かった。

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