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番外編チカちゃんお帰りなさい!
「こんだけガヤガヤと騒々しいのにね。さすがはハルくんの坊やたちだわ。将来きっと大物になるわよ」
太惺はチカちゃんに、心望は紗智さんに抱っこ紐でおんぶしてもらい、お手手をグーに握り締めすやすやと寝ていた。
「珍しいなハイヒールを履いてない」
「だって遊びに来るたびハラハラドキドキさせられるのよ。ハイヒールを履いていたらいざというとき逃げられないでしょう。いい加減学びました。ネギちゃんに買ってもらっちゃった。オニューなの。伊澤とお揃いなのよ。いいでしょう」
「オニュー自体私語だろう」
「え?そうかな」
「そうだよ。ん?」
蜂谷さんがなにかに気付き、しーと人差し指を唇の前に立てた。
「誰かが階段を登ってくる」
「俺の出番か」
青空さんがぽきぽきと指を鳴らしながら臨戦態勢に入った。
「チカはフーの後ろにでも隠れていろ」
「えぇ、なんで」
「頼むからここでは女の子でいてくれ。怪我をさせたら国井に顔向けが出来ないだろう。それにたいくんをおんぶしてるんだ。無茶をしないでくれ」
蜂谷さんに促され物陰に隠れ、身を潜めた。足音がだんだんと早くなり、はっきりと聞こえてきた。
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