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番外編 狙いは僕と子どもたち
「しかしまぁ、菱沼組の構成員たちはみ~んな揃いも揃っていい男ばかりよね。背が高くて、体格もいい。未知は小さいから、目眩ましになってこういうとき便利でいいわよね」
ごほん、わざとらしい咳払いが聞こえてきた。
「やぁだ、もう。そんな怖い顔で睨まないでよ」
青空さんに睨まれ、チカちゃんは手をひらひらと振った。
「語弊があったら謝るから許して」
駐車場に移動するまで、みんなが左右一列にズラリと並び壁を作り、僕たちを守ってくれた。
爆竹はまだあちらこちらで鳴っていた。
サイレンの音も、警報器の音も、ずっと鳴りっぱなしだった。
奈梛ちゃんは背負っていたリュックにフルーツを入れてもらい、鳥飼さんとフーさんの手をしっかり握り、上ばかりキョロキョロ見ながら僕たちのあとを小走りでついてきた。
ワゴン車に乗り込み、何気に外を見ると、車の下敷きになっていた女性がちょうど救出され担架に乗せられるところだった。血まみれの顔が半分だけ見えた。
「ねぇチカちゃん、あれは刺青?それともタトゥーシールかな?」
「どれどれ」
チカちゃんが身を乗り出して女性の腕を見つめた。
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