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番外編狙いは僕と子どもたち
「なんで道を塞ぐようにパトカーが停まっているんだ。これじゃあ先に進めないだろうが」
「戻りますか?」
「いや。進め。50メートル先にマルキ不動産という名前の会社がある。【私道につき関係者以外立ち入り禁止、通り抜け禁止】の立て看板があるがそこを入れ。裏通りに抜けられる」
「入って大丈夫なんですか?」
「マルキ不動産はオヤジの飲み仲間が経営している会社だ。大丈夫だ」
「分かりました」
道を間違わないように壱さんがゆっくり減速した。
「ハルくん、いろんなところに知り合いがいるんだね」
「この不景気だからな。商売敵と目の敵にせず、持ちつ持たれつ、協力し合わないと生き残れないだろう」
「なるほどね」
チャイルドシートに心望を乗せながらチカちゃんが何度も頷いていた。
さっきまでいなかった警備員さんがどこからともなくすっと現れた。立て看板の注意書きを無視し無断で進入する車が多いのだろう。
壱さんの顔に緊張が走った。
「立川さんお疲れ様です」
蜂谷さんが立ち上がり窓から顔を出した。
「上澤診療所に行きたいのだがパトカーが道を塞いでいて通れないんだ。悪いが通り抜けさせてくれ」
「どうぞ」
警備員さんが笑顔でがらがらと門扉を開けてくれた。
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