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番外編 譲治さんと覃さん
「暴走車は盗難車、運転手は事故後忽然と姿をくらました。なんとも摩訶不思議な事故だ。ニュースでそう報じていた。営業妨害もいいとこだな」
突然の訪問にも関わらず度会さんと紫さんは僕たちを温かく迎えてくれた。
「ずいぶんとまぁ、静かだと思ったらみんな寝てるのね」
「奈梛は泣き疲れた。太惺たちはずっと寝てる。布団を準備してくれ」
青空さんに抱っこされ奈梛ちゃんがすやすやと眠っていた。鳥飼さんとフーさんは鍋山さんらに事情を聞かれている。
「紫さん、お久し振りです」
「あら~~チカちゃんじゃないの。見ないうちにまた一段と美人さんになったんじゃない?」
「紫さんたら、もぅ、やだ~~」
チカちゃんの甲高い声に陽葵と心望が小さな体をビクッと震わせた。
「襲われたって聞いて心臓が止まりそうになったのよ。元気そうで良かったわ」
二人を起こさないように小声で話すと、ほっとしたように大きく息をついた。
「せっかくのお休みなのにごめんなさいね。これじゃあ、ゆっくりも出来ないわね」
「未知と子どもたちに会いたくてハルくんに無理を承知で頼んだんです。だから気にしてません」
チカちゃんは紫さんに余計な心配をさせまいと噛まれたほうの手をすっと隠し、いつも通り明るく振る舞っていた。
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