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番外編譲治さんと覃さん

「譲治と覃は?」 「それがですね」 鍋山さんがビクビクしながら額の汗を拭った。 「屋敷の外には出れないので、どこかにいるとは思うんですが……」 「さっさと見付けてここに連れてこい。みんなの前で姐さんに挨拶をさせろ。ここにいる連中はみな譲治のことも覃のことも快く思っていないんだ。そのくらい分かるだろう」 「は、はい、すみません」 鍋山さんが立ち上がろうとしたら、 「離せ!どさくさに紛れて尻を触るな!セクハラ、変態!」 譲治さんを軽々と肩に担ぎ、覃さんがずかずかと広間に入ってきた。 「ほら度会。ジョーを連れてきたぞ」 「覃、なんだその口の聞き方は」 「会長に向かって失礼だろう」 居並ぶ古参の幹部を前にしても動じる覃さんではない。 「俺のボスは地竜だ。度会じゃない」 「あ?てめぇー、喧嘩売ってんのか!」 売り言葉に買い言葉。 まさに一発即発。いつ取っ組み合いの喧嘩がはじまってもおかしくなかった。その直後、 「止さんか!姐さんの前でみっともない」 度会さんのどすのきいた低い声が広間に響き渡り、場が一瞬し~んと静まり返った。 「覃、譲治をさっさと下ろせ!挨拶させろ!何度も言わせんな!」 度会さんが声を荒げ、覃さんを睨み付けた。

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