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番外編 度会さんがひた隠しにしてきたこと
「なぁ、度会。一度聞こうと思ったのだが」
覃さんが胡座から、正座に座り直した。
「なんだ、改まって」
「俺の知るある男がいる。ソイツはかっとなると、鉄の壁すら射通しそうな鋭い瞳で睨み付けてくる。ソイツの瞳は、蜘蛛のような暗い瞳をしている。初めは気のせいだと思った。だがな、見れば見るほど度会、お前にそっくりなんだ」
「何が言いたい」
「ボスもダオレンも前の教祖がお前に瓜二つだ、他人の空似だとは思えない。酷似している。そう言っていたのを思い出した」
「俺には兄しかいない。弟はいない。あ、そうだ。地竜から手紙が届いていたぞ」
度会さんが話題を急に変えた。
「日本人は勤勉で真面目で正直者が多いが、嘘をつくのが下手だな」
覃さんの顔が悲しげに曇ってきた。
「度会、自分だけが真実を知らない。それがどれだけ辛いことか、お前なら分かってくれる、そうてっきり思っていたが、実際は違ったな」
覃さんがチカちゃんの顔をじっと見つめると、シェド、ジェジェとひと言小さく呟いた。
シェド、ジェジェ?どういう意味なんだろう。首を傾げていると、飲み物をお盆に乗せ運んできた紗智さんが目を見張り驚いた表情を浮かべていた。
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