度会さんが目で蜂谷さんに合図を送ると、蜂谷さんと青空さんがすっと立ち上がり若い衆のあとを追い掛けた。 ｢かくれんぼうして遊んでいたとき、幸が床の間に飾ってある掛け軸にカメラが仕込まれていることに気付いたんだ。他にもきっと隠してあると思ってな。めぐみと優輝に家中あちこち探してもらったら、この広間からも盗聴器が見付かった」 ｢もしかして犯人を見つめるため、わざと夫婦喧嘩をはじめたんですか？」 ｢そうだ。はじめは譲治じゃないかって思ってな、四六時中張り付いている覃と鍋山に聞いたら譲治はそんなことをするような男じゃない。二人とも即答だった。なかなか尻尾を出そうとしないからこっちから仕掛けるしかないだろう」 ｢数えるくらいしか夫婦喧嘩をしたことがないでしょう。だから何を理由に喧嘩をしていいか分からなくてね。柚さんや光希さんや心さんに聞いたりして、そりゃあもぅ大変だったのよ。未知さんもたまには遥琉と喧嘩したら？新たな発見があったりしてなかなか楽しいわよ」 ｢おぃ、おぃ、煽ってどうすんだ？」 ｢煽ってなんかいませんよ」 紫さんが口に手をあておほほと愉しげに笑った。