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番外編 彼と譲治さん

子どもたちが勢揃いした日の夕御飯のメニューはもちろんカレー。小学生組と遥香、四人で手分けして作ってくれた。 「おぃ、おぃ、じゃがいもが一個まるごと入ってるぞ」 彼がスプーンで掬い上げて見せてくれた。 「あら、アタシのにはゆで玉子がまるごと一つ入ってるわよ。もしかして亜優もゆで玉子?」 亜優さんが具の大きさに目を丸くしながら頷いた。 「私も知らなかったんですけど、味噌じゃがって福島のソウルフードだったんですね」 橘さんが大皿にど~んと味噌じゃがを盛り付けて運んできてくれた。 「チカちゃんリクエストの鯉のお刺身もあるわよ」 「やったーー!紫さんありがとう」 チカちゃんは両手を叩いてそりゃあもぅ大喜びだった。久し振りに食べる故郷の味に舌鼓を打っていた。 「あ、なやちゃんだ!」 「はれくんに、みくくんもいる」 「おかえりーー!」 「お手手を洗って一緒にご飯をたべよう」 めぐみちゃんと優輝くんは奈梛ちゃんと晴くんと未来くんを洗面所に連れていき、 「一太、ごはんわける」 「奏音はカレーをかける」 一太と奏音くんは仲良く連れ立って台所に向かった。 「子どもたちは一太たちに任せて、たまにはゆっくり飯を食ったらいい」 「オヤジ、ありがとうございます」 信孝さんと鳥飼さんが頭を下げた。 「いいってことよ。誰か、ナオに椅子を持ってきてくれ」 廊下に控えていた譲治さんがすっと立ち上がると、どこかに向かった。 「ジョー、筋金入りの方向音痴。かなり危険」 覃さんが慌てて追いかけていった。

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