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番外編 チカちゃんには辛い質問

「あ、分かった!」 チカちゃんが両手をぱちっと叩いた。 「倦怠期で欲求不満が溜まっているとか?もしかして図星?」 「あなたに心配されなくても夫婦仲はいいですよ」 「本当にそうかな?女性の影がちらちら見え隠れしているってダーリンが言ってたよ」 「四季さんの幸せを妬み、狡猾に策を巡らせ、命をつけ狙う橋本喜代子という女性の人となりを調べるため、柚原さんに頼み児童養護施設の関係者から話しを聞いて回ってもらっているんです。どういう訳か皆さん、貝のように固く口を閉ざし、証言を避けるみたいで、中には橋本さんの名前を聞いただけで怯えて泣き出す女性もいたと聞きました」 橘さんの言葉にチカちゃんがハッとし、息を飲んだ。 「なんせ現役の警察官が共犯者ですから、証拠を捏造することも、隠蔽することも赤子の手をひねるくらい簡単なことでしょうね。四季さんにやってもいない罪を着せ、どれだけ苦しめてきたか。今も彼は苦しんでますよ。チカさん、あなたに聞くのは酷かも知れませんが、警察はいつから悪党の味方になったんですか?正義の味方、弱い者の味方ではないんですか?」 「橘……さん……」 厚生労働省に出向中の身とはいえ、チカちゃんももともと警察官だった。

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