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番外編彼と譲治さん

「大きな音がする花火はちっちゃい子たちがこわがるから、音のちいさい花火とせんこう花火にしよう」 ご飯を食べ終えてから一太の掛け声で庭で花火がはじまった。譲治さんが茶箪笥の一番上、子どもたちの手が届かないところに度会さんが隠しておいた花火セットを偶然見付けたみたいで、目をきらきらと輝かせながら彼のところに持っていった。 度会さんと鍋山さんに見付かったら、注意され取り上げられると思ったのか、見付からないように服の中に隠していた。 子どもたちと一緒になりはしゃぐチカちゃんと紗智さん。那和さんは缶ビールを呑みながら、青空さんと蜂谷さんは棒のアイスを食べながら庭を眺めていた。 「オヤジ、チカを襲った犯人、警察署から検察庁に送致される途中で事故に巻き込まれたらしいぞ」 「口封じか」 「恐らくな。それと気になる書き込みをネットの掲示板で見掛けた」 膝を突き合わせて話し合う彼と根岸さんに二つの小さな影がそろり、そろりと気付かれないように、足音を忍ばせて近付いていった。 真っ先に気付いた伊澤さん。 「ちぃーー」 彼や一太たちの真似をして人差し指を唇の前に立てる二人。あまりにも可愛らしい仕草にぷぷっと吹き出しそうになったけど、笑うのを必死で我慢した。

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