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番外編 まさに以心伝心

「いたいいたいのとんでいってよかったね。たいくん、ほら見てごらん。花火がきれいだよ」 太惺は一太の服にしがみつきながら庭をじっと見つめた。 「たいくんがなやちゃんくらいになったら、お兄ちゃんといっしょに花火をしようね」 一太が笑顔で太惺の顔を覗き込むと、にこっと笑って返した。 「ここちゃん、そろそろパパって行こうか?」 「おぃおぃ、怖い顔をするな。やっと機嫌が直ったところなんだから」 根岸さんの膝の上からなかなか下りようとしない心望に伊澤さんは焼きもちを妬いたみたいだった。 「ほら、言わんこっちゃない」 下唇をこれでもかと伸ばし、目に涙を浮かべる心望。 ちょっとやそっとのことでは動じない根岸さんも心望の涙には弱いみたいで、おろおろしていた。 そんな根岸さんに救いの神様が現れた。 「みんなもちやきさんばっかで、こまっちゃうよね。ここちゃん、おいで」 それは遥香だった。 「ハルちゃん、大丈夫か?重いぞ」心配する根岸さんをよそに心望をよいしょっと抱き上げてくれた。 「ねぇ遥琉さん、さっき事故に巻き込まれたって言ってたよね?すごく嫌な予感がするんだけど……混乱に乗じて犯人が逃げ出したとか……でも、厳重な警備体制を敷いているはずだし、そんなことあり得ないか」 当てずっぽうで言ったつもりだったけど、それは当たっていた。

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