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番外編 臭いものには蓋、言わずが花
だからさっき国井さんが電話を掛けて来たんだ。
「久坂さんが亡くなったのも結局事故として処理されたんだよね?」
「臭いものには蓋、言わずが花だ。俺たちを疑心暗鬼にさせて混乱させる魂胆だろうよ」
「またチカちゃんが狙われるの?そんなの嫌だよ。チカちゃんに何かあったら僕……」
起こりうる最悪の事態が頭をよぎった。
手足だけじゃない。唇や顎が震え、自分を抱きしめた。
「未知、ありがとー。うれしー」
チカちゃんが庭から飛んできた。
「土足禁止だ。まずはサンダルを脱げ。そして手に持っている線香花火を片付けてこい。太惺と心望が間違って口にしたら大変なことになるだろう」
「だって、さぁ」
「だってもこうもない」
「アタシが戻ってくるまで、慰めちゃ駄目だよ。慰めるのはアタシの役目だからね。横取り厳禁」
「分かってるよ」
「本当に分かってる?」
疑いの目を向けられ、彼がぎくっとしていた。
「オヤジ、放火魔がもう一人いる。昨日はチカが住むアパートのゴミ集積所で不審火があり、今朝は隣のアパートの自転車置場に停めてあった自転車が数台燃えた。シェドはもしかしたらチカが実の姉だと知ってて、余計な詮索をされないためにこの世から抹殺しようとしているのかも知れない」
「シェドは教団にとって唯一無二の神さまだ。自分に都合の悪いことはすべて消去。度会の甥もすでに始末されているかもな」
伊澤さんがポケットから紙切れを出すと彼にそっと差し出した。
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