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番外編 臭いものには蓋、言わずが花
「譲治のポケットに入っていた。譲治は几帳面で、人とは違うこだわりを持っている男だ。こんな風にくしゃくしゃに丸めてポケットに入れるようなことはしない。四隅ぴったりと合わせて、一寸の狂いもなく綺麗に折り畳んだあと曲がらないように慎重にポケットに入れるだろう」
「なるほどな。これは覃が見付けたんだろう。ヤツは隙あれば譲治の尻を揉んでいるからな」
紙切れには数字の羅列が書いてあった。
何かの暗号文のようだった。
「亜優と宋ならこれを解読することが出来るはずだ」
「亜優は俺が頼むより、二人から頼んだほうが喜ぶし、俄然やる気になる。宋には俺のほうから頼んでみる」
「いや、若林から宋に頼んでもらったほうが早いかも知れない。日本人の癖に、都合が悪くなると日本語分かりませんと、すっとぼけるからな」
根岸さんたちと話しをしながら、彼がちらちらと僕とチカちゃんを見ていた。
「オヤジ、よだれが出てるぞ」
「だって、俺も未知にアイスをあ~~んされたい。チカばっかずるい」
「女子同士、積もる話しもあるだろう。ハルちゃんに言われなかったか?もちやきさんばっかりだって」
根岸さんがやれやれとため息をついていた。
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