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番外編遥琉さん、わざとでしょう!
「やだ、くすぐったい」
身を捩ったらその弾みで半分くらいとけていたアイスが棒からストンと落ちた。しかも彼の顔に……。
一瞬頭の中が真っ白になり、血の気がさぁっーーと引いた。
「ご、ごめんなさい遥琉さん。どうしよう。あ、そうだ。タオル……」
おろおろする僕とは対照的に彼は怖いくらい落ち着いていた。だから、すごく嫌な予感がした。
「なにもさぁ、舐めればいいんじゃないのか?例えばそうだな、ペロペロキャンディーを舐めるみたいに」
色香を漂わせた上目遣いの目で見られ、棒を持っていた手を肉厚な舌でベロリと舐められた。
その瞬間、どきっとして身体が震えた。
「今さら恥ずかしがってどうするんだ?ほら、早く」
「遥琉さんの意地悪」
頬っぺをこれでもかと膨らませ睨み付けた。
「ごめんな。決して意地悪をしているつもりはないんだが」
くすくすと愉しげに笑うと目を静かに閉じた。
「これならいいだろう」
太惺がモゾモゾと動き出した。悩んでいる時間はない。僕は覚悟を決めた。
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