2347 / 4015
番外編 遥琉さん、わざとでしょう!
彼とは数え切れないくらいキスをしたのに。それなのに滅茶苦茶緊張するはなぜなんだろう。
それに心臓がドキドキする。今にも破裂しそうだ。
伏し目がちになりながら、ちゅっ、と軽く鼻先に口付けをし、舌を出して舐めようとしたら、
「未知~~寝るわよ~~!」
ガラッと勢いよく襖が開いてチカちゃんが姿を現したから、腰を抜かすくらい驚いた。
「ハルくん、約束の十分過ぎたわよ。どいて、どいて」
チカちゃんが割り込んできた。
「今、いいところなんだ。ふざけんな」
やすやすと引き下がってなるものか。彼が腰にぎゅっとしがみついてきた。
「ごめん、服にアイスが付いたかも」
「大丈夫だよ。洗えば落ちるから」
「未知に舐めてもらえると思ってめっちゃ楽しみにしていたのに。糠喜びになってしまった……」
がっくりと肩を落とした彼。チカちゃんをじろりと睨み付けた。
「チカ、あとで覚えておけよ。ただじゃおかないからな」
「やだ、怖い~~お兄ちゃんがアタシをいじめる~~」
チカちゃんが涙をタオルでそっと拭った。
「嘘泣きは止めろ」
「嘘泣きじゃないもん」
ぷいとそっぽを向くチカちゃん。
「何を騒いでいるんですか!今、何時だと思っているんですか!」
橘さんの怒りのこもった怒鳴り声が響き渡った。
ともだちにシェアしよう!

