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番外編 遥琉さん、わざとでしょう!

彼とは数え切れないくらいキスをしたのに。それなのに滅茶苦茶緊張するはなぜなんだろう。 それに心臓がドキドキする。今にも破裂しそうだ。 伏し目がちになりながら、ちゅっ、と軽く鼻先に口付けをし、舌を出して舐めようとしたら、 「未知~~寝るわよ~~!」 ガラッと勢いよく襖が開いてチカちゃんが姿を現したから、腰を抜かすくらい驚いた。 「ハルくん、約束の十分過ぎたわよ。どいて、どいて」 チカちゃんが割り込んできた。 「今、いいところなんだ。ふざけんな」 やすやすと引き下がってなるものか。彼が腰にぎゅっとしがみついてきた。 「ごめん、服にアイスが付いたかも」 「大丈夫だよ。洗えば落ちるから」 「未知に舐めてもらえると思ってめっちゃ楽しみにしていたのに。糠喜びになってしまった……」 がっくりと肩を落とした彼。チカちゃんをじろりと睨み付けた。 「チカ、あとで覚えておけよ。ただじゃおかないからな」 「やだ、怖い~~お兄ちゃんがアタシをいじめる~~」 チカちゃんが涙をタオルでそっと拭った。 「嘘泣きは止めろ」 「嘘泣きじゃないもん」 ぷいとそっぽを向くチカちゃん。 「何を騒いでいるんですか!今、何時だと思っているんですか!」 橘さんの怒りのこもった怒鳴り声が響き渡った。

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