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番外編 覃、知らない?

「ちょっと待ってね」 チカちゃんがスマホを操作し彼に見せた。 「隣にいるのは弁護士か?」 「そうよ。この男、大物政治家の顧問弁護士でもあるのよ。こんな偶然ってある?」 「いや、ないな」 「でしょう」 「記者会見を行っているこのホテル、どっかで見たような気がするんだが」 「夢華が以前お茶会を開いたホテルなんじゃない?」 「そうかも知れないな。チカ、悪いが音量をもう少しだけ上げてもらってもいいか?」 「いいわよ」 年は五十歳くらいかな?背のずんぐりした、色黒の、くっきり締まった細面の男性だった。 シェドが教祖に就任して教団幹部も刷新され一気に若返ったと彼が話していた。だからかな何かが引っ掛かって、腑に落ちなかった。それは彼も同じだった 「この特徴的な、太くて錆びた声、どっかで聞いたことがあるんだよな」 庭で青空さんや若い衆とかくれんぼうをしていた譲治さん。いきなり奇声を上げると、急にガタガタと震え出し、ばたっとその場に倒れた。

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