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番外編 覃さん、知らない?

「誰か、救急車を呼べ!」 彼が叫んだ。 「大丈夫……だから……おおごとにしないでほしい」 譲治さんはすぐに意識を取り戻し、よろよろと起き上がろうとした。 「どこが大丈夫なんだ。顔が真っ青だろう」 縁側を飛び下り、すぐに譲治さんに駆け寄った彼。スマホを取り出そうとしたら、 「医者ならここさいっぞ」 斉木先生と上澤先生がひょっこりと現れたから腰を抜かすくらい驚いた。 「嫁と孫に会さ来たんだ。いやぁ~~孫は目に入れても痛くないっていうが本当だった。それにウーもめんこかったぞ」 陽彩くんに面会して岳温泉に帰る前に度会さんのところに立ち寄った斉木先生。偶然にも上澤先生が度会さんと将棋を指していて、久し振りの再会に、お酒も進み、話しが大いに盛り上がっていたとき、彼の叫び声を聞きつけ、駆け付けてくれたのだった。 「ちいと酒くさいが勘弁な」 「そだに呑んでねぇぞ。なぁ、度会?」 「あんなの呑んだうちに入らない」 斉木先生と上澤先生の迅速な応急手当のお陰で大事には至らなかった。 「譲治さん大丈夫?まだ気持ち悪い?」 高い音も苦手だけど、匂いにも敏感なのかな?吐き気を催した譲治さんは布団に臥せっていた。

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