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番外編 覃、知らない?

「喉、乾いたでしょう?お腹は?空いてない?」 ぶんぶんと首を横に振る譲治さん。でも、グググ~と派手な音が聞こえてきた。 「お粥を作ったから今持ってくるね。それまでこの麦茶を飲んで待ってて」 譲治さんの手にマグカップを握らせ、立ち上がろうとしたら、 「卯月さんと盃を交わすことにした」 「へ?」 驚いて思わず変な声が出てしまった。 「やくざを辞めて、職業訓練の学校に通い、社会復帰を目指すんじゃなかったの?」 「人を殺してしまった俺を雇ってくれる人はいない。俺は卯月さんの役に立ちたい。菱沼組の人たちはみんな優しくしてくれる。飯も旨いし、俺が嫌だって思うこともやれって言われない。未知さんも優しい。姐さんみたくあれ、それ、くず、のろま、ばか、絶対に言わない。さん付けで呼んでくれるでしょう?頭だっていい子、いい子って撫でてくれる。絶対に叩かないでしょう?足や手でぶったりしないでしょう。だからここにいるって決めたんだ」 僕が予想していた以上に譲治さんの過去は波乱万丈で言葉では言い尽くせないくらい壮絶なものだった。

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