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番外編 亜優さん、待っただよ
亜優さんがすごい剣幕で譲治さんに詰め寄ってきた。中国語が分からない譲治さん。すっかり怯えて半泣きしていた。
「亜優さん、待っただよ」
両手を大きく広げた。
「紗智さん、那和さん助けて!」
そんなに大きな声を出さなくても二人はすぐ近くにいてくれる。譲治さんがパニックにならないか、ひやひやした。
「亜優はマーっ子だから、マーが大好きだから。あまりにも仲がいい二人を見て焼きもちを妬いたんだよ。亜優、あっぷしないの。喉から唸り声を出さないの」
「よし、よし、いい子だね」
二人から頭を撫で撫でしてもらいようやく落ち着きを取り戻した亜優さん。
「僕もお粥をあーんして欲しいって?あのね、亜優。譲治は具合が悪いんだよ」
「それにマーは譲治にお粥を食べさせてないよ。わがまま言わないの」
二人が代わりばんこに亜優さんの言葉を通訳してくれた。
「亜優の頑固さは誰に似たんだ?」
「誰って一人しかいないじゃん」
目を合わせるなりぷぷっと吹き出す二人。
譲治さんはお粥を食べながら、終始目を丸くして二人のやり取りを見ていた。
それから数分後ーー。
お粥を一口ずつスプーンで掬い三人に食べさせていた。
「三人並んで口を開けて何をしているんだ?」
「だって、亜優がマーにあーんしてもらいたいって言うから」
「僕たちもマーに食べさせてもらいたくなった」
「アジミ」
「餌付けしているとしか見えないぞ」
彼が呆れるのも無理ない。
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