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番外編 ヤスさんの生い立ち
「あ、この女!」
思わず大きな声を上げた彼。譲治さんが驚いてびくっと肩を震わせた。
「すまん。吃驚させて」
譲治さんは首を横に振った。
「なるほど。そういうことか」
彼がスマホを耳にあてた。
「鞠家か?忙しいのに頼んで悪いが、一昔前に違法な手段で信者から献金を巻き上げていたこころやすらぎ……なんとかの会っていう新興宗教があっただろう?今どうなっているか大至急調べて欲しい」
ーオヤジ、こころやすらぎって言ったら確かヤスの……ー
「そうだ。悪事はいつかバレる。お天道様はちゃんと見ててくれていたんだ。それと襲名式のときダオレンに侍っていたチャイナドレスの女がいただろう?」
ーあぁ、そんな女がいたかもな。悪い。紗智しか興味がないからよく覚えていないー
「実を言うと俺もだ。未知にしか興味がないから、すっかり忘れていた」
ーで、その女がどうしたんだ?ー
「夢華を名乗りまたお茶会をはじめた」
ーまだほとぼりが冷めていないというのに。つくづく懲りない連中だなー
「教団の日本支部の支部長の男、こころやすらぎの幹部の男に顔の輪郭や目元がよく似ているんだよ。同一人物かも知れない」
ーなかなか面白くなってきたなー
鞠家さんは嬉しそうだった。
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