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番外編 四季さんが危ない

「春に児童養護施設を出たばかりでスマホを持っていなかった四季に和真がスマホをプレゼントしたんだが、何度ブロックしても迷惑電話と迷惑メールがバンバン来て、SNS上でも言われなき中傷を受けて怖くて電話にも出れなくなった。それ以来押し入れにしまいっぱなしらしい。四季は防犯ブザーを持っている。パッと見、華奢に見えるが腕はかなりの筋肉がついている。火事場のばか力でヤスが駆けつけるまでなんとか逃げてくれればいいんだが」 彼が心配そうにスマホの画面を見つめた。 「遥琉さん、なんで今度はヤスさんが狙われないといけなの?」 「菱沼組の牙城を崩すためだ。鞠家、弓削、柚原、ヤス、この四人は菱沼組の屋台骨を支える、いわば中枢みたいなものだ。弓削がいない今、ヤスを始末すれば、鞠家と柚原しかいなくなるだろう?」 「なるほど。そっか」 「チカは連中にとって目の上のたんこぶだ。いま、マトリに調べられたら非常に都合の悪いことでもあるんだろう」 「遥琉さん、どうかヤスさんと四季さんを守ってあげて」 「おぅ、任せておけ。なるようにしかならないんだ。きみにはいつもニコニコ笑っていてほしい」 不安な気持ちを一掃するかのように優しく微笑むと、頭をぽんぽんと撫でてくれた。 「ハルお兄ちゃん、アタシも、ナデナデして~~~!」 「こら、チカ。割り込んでくるな」 チカちゃんが下からぬっと現れたものだからビックリした。

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