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番外編 青空さんは本部からの借り物

伊佐木を使った料理がテーブルを華やかに彩っていた。 「ちょうど子どもたちが食べ終わったところだ。陽葵も寝ているし、今のうちゆっくり食べたらいい」 「ありがとう柚原さん」 「ほらチカも座れ」 「ねぇ、これ全部橘が作ったの?」 「久弥も手伝った。新鮮な伊佐木に料理人としての血が騒いだらしい」 「なかなかいい兆しじゃない?」 橘さんを手伝い、料理を一緒に運ぶ久弥さん。その表情は生き生きとしていた。 そんな久弥さんを森崎さんは物陰に隠れ心配そうに見守っていた。 「未知」彼に箸を渡された。 「食べたいものがあれば取ってやる。遠慮なく言え」 「ありがとう遥琉さん」 煮付けにフライに南蛮漬けに酒蒸し。唐揚げもある。どれから食べよう。悩んでいたら、彼のスマホの着信音が二回、ほぼ同時に鳴った。 「小学校からとポリスメールだ」 ちらっと画面を確認するとすぐにスマホをポケットにしまった。 「子どもたちの下校時間が一時間早まった。柚原、悪いが一緒に行ってくれないか?」 「分かった」 事情をすぐに察した柚原さん。 「ハチ、青空、俺の留守中、姐さんと子どもたちを頼む」 「渡会さんもいる。大丈夫だ。任せておけ」 蜂谷さんの表情が引き締まった。

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