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番外編一抹の不安

「鍋山、譲治から目を離すなよ」 彼から留守を預かった蜂谷さん。緊張し顔が強張っていた。 青空さんはずっと僕の側にいてくれる。みんながいてくれるから。一人じゃないから心強い。 亜優さんはパソコンの前に座り、チカちゃんと一緒に熱心に何かを調べていた。 「バーバから頼まれたって、すごく喜んでる」 「やる気もアップだね。たいくん、ここちゃんお外はあぶいよ。中で遊ぼうね」 紗智さんと那和さんが手でガードし、子どもたちが外に行かないようにしてくれた。 「あ、そうだ。ハルちゃんは?」 「帰りに幼稚園に寄って連れてくるって」 「それなら良かった」 緊迫した状況だからこそ、いつもと変わらない子どもたちのキャキャとはしゃぐ声と笑顔が何よりの救いだ。 「申請書と名称変更の、そう、それを大至急調べて。それと、明日の昼、都内の○○ホテルでお茶会が開かれるみたいなのよ」 電話の相手は国井さんみたいだった。 「本当は仕事持ち込み厳禁なんですけどね。今日だけは大目にみることにします」 「サンキュ、橘」 「いいえ、どういたしまして」 橘さんが様子を見に来てくれた。

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