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番外編 チカちゃんを襲った犯人の正体

「橘、この鳥はなんだ?」 「カッコウ、カッコウと繰り返し鳴いて、最後にキョキョキョキョとけたたましく鳴く鳥といったらかっこうです。初夏の訪れを教えてくれる鳥です。かっこうの中には、モズやうぐいすなどに托卵して、自分では全く子育てをしないかっこうがいるんです」 「なるほどな。一つ勉強になった。橘、感謝する」 青空さんが耳を澄ませると、カッコウ、カッコウと遠くから鳴き声が聞こえてきた。 「亜優、ストップ」 チカちゃんが何に気付き声をあげた。 「橘、いたわよ。か弱いアタシを襲った犯人」 「誰がか弱いってですか?返り討ちにした癖に」 橘さんが怪訝そうな声で返した。チカちゃんが指を差した先にいたのは見覚えのある若草色の作業着を着た若い男性。胸ポケットには会社名が刺繍されていた。 「こんなこともあるんですね」 橘さんが驚きながらスマホを耳にあてた。柚原さんは取り込み中で電話に出ることが出来いからと、鞠家さんに電話を掛けた。 ー紗智に何かあったのか?ー 「紗智さんは無事ですよ」 ー良かったー 「鞠家さん、か弱いチカさんを襲った犯人の一人が誰だか分かりましたよ」 ーは?全然か弱くねぇだろうー 「ま、そういうことにしておきましょう」 ーで誰なんだ?ー 「須釜製作所で派遣社員として働いている男です」 ーヘェ~~なるほどな。ますます面白いことになってきたな。橘、紗智を頼むー 鞠家さんはさほど驚く様子を見せず電話を切った。

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