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番外編 四季さんはヤスさんの大切な娘
ーオヤジ、俺も四季も佐治も全員無事です。四季の日頃の行いがいいんでしょう。運が味方してくれましたー
「そうか、良かったな。ヤス、くれぐれも油断するなよ」
ーはい、肝に命じます。オヤジ、そちらの様子は?ー
「園児を迎えに来た保護者に紛れて園舎に侵入しようとした不埒な輩がいたが、根岸と伊澤に取り押さえられた。びっくりしただろうよ。ヤスのところに向かったはずの二人が幼稚園にいるんだからな。障子に目あり壁に耳ありだ。油断も隙もない。これから家に戻る」
電話を切ろうとした彼。でもその直後、混雑する幼稚園の駐車場にけたたましく響きわたったのは二発の銃声だった。
「キャアー!」保護者と園児の悲鳴が飛び交い騒然となった。
めぐみちゃんと優輝くんは両方の手で耳を押さえ、がくがくと震えていた。
「大丈夫だよ、パパとぱぱたんがいるから」
「かなたのじぃじもいるよ」
一太と奏音くんが二人を励ました。
「一太くんとかなたくんはこわくないの?」
「こわいよ。でもぼくがこわがったら、ハルちゃんがもっとこわがるでしょう?一太はつよくてかっこいいパパの子どもだから、みんなをまもるんだ」
「ぼくはパパたちと男のやくそくをしたんだ。ないているひとがいたらたすけるって」
一太と奏音くんのなんとも頼もしい一言に、彼は二人の成長を感じ泣きそうになったみたい。
「遥香、パパがいるからな。大丈夫だぞ」
「うん」
鼻を啜りながら頷くと彼の体にぎゅっとしがみついた。
でも本当の恐怖はこれからだった。
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