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番外編 良かったみんな無事で

小学校は一時に一斉下校で、そこから幼稚園までは十分とかからない。 二時を過ぎたのにみんなまだ帰ってこなかった。 心配でいてもたってもいられず、部屋の中を行ったり来たりしていたら、 「姐さん大変です‼」 若い衆が息を切らしながら駆け込んできた。 「お帰りみんな」 靴も履かずに外へ飛び出し、一太と奏音くんをぎゅっと抱き締めた。 「怖かったでしょう。良かった無事で……ママ、心配で、生きた心地がしなかったんだよ」 「ママ、こわかった」 「みちさん、こわかった」 「よく頑張ったね。遥香とめぐみちゃんと優輝くんを守ってくれたんだよね。偉いよ二人とも」 元気そうな子どもたちの顔を見るなり涙が堰を切ったかのように次から次に溢れてきた。 めぐみちゃんと優輝くんは紫さんが泣きながらぎゅっと抱き締めた。 ひと様に迷惑は掛けられない。連中の狙いは俺たちだ。幼稚園の駐車場から急いで出ようとしたワゴン車にレンタカーが突っ込んできた。壱東さんの咄嗟の判断で衝突は回避出来たけど、レンタカーから二十人近い人たちが一斉に降りてきてワゴン車を取り囲んだ。お経みたいな言葉を何度も繰り返しながらドアを力ずくでこじ開けようとした。

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