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番外編 彼の心配事
子どもたちが広間に勢揃いして、座布団の上にちょこんと座ると、橘さんと紫さんが腕によりをかけて作ってくれたおやつを運んできてくれた。
今日のおやつはアメリカンドックと麦茶だ。
「中身はぱりぱりのウィンナーと、バナナと、魚肉ソーセージと、うずらの卵の四種類です。さぁ、召し上がれ」
「わぁ~~スゴイ~~」
「おいちそう~~!」
「いただきます!」
子どもたちから歓声があがった。
太惺と心望はバナナの蒸しパンと麦茶だ。
美味しそうな匂いにつられたのか彼が姿を見せた。
「パパもまぜて」
「いいよ~~」
子どもたちが寄ってくれて。席を空けてくれた。彼が腰を下ろすと一太がアメリカンドックがこれでもかと盛られた皿を彼の前にど~んと置いた。
「パパ、おかわりあるよ。たくさんたべて」
「ありがとう一太。しかしまぁ、ずいぶんとサービスがいいな」
心望が蒸しパンを掴むと小さなお手手を伸ばし、彼にどうぞした。
「もしかして心望もパパもくれるのか?ありがとうな」
笑顔で受け取ると、何気に庭を見た。
「譲治はあれからずっと庭にいるのか?」
「鍋山さんと敷地内をパトロールしたり、蟻を見たり、雲を眺めたりしてずっといる」
「そうか」
何か気になることでもあるのかな?アメリカンドックを頬張りながら、しばらくの間じっと譲治さんと鍋山さんを見つめていた。
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