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番外編 彼の心配事
カタカタと隣から物音がした。
「どうやら聞き耳を立てているお邪魔虫がいるようだな」
お邪魔といったら、橘さんと柚原さんしかいない。
「チカまで混ざっているとかないよな?」
「どうだろう。ねぇ遥琉さん、くすぐったい」
「くすぐっていないだろう?」
「くすぐってるよ」
「手の甲も、手のひらもだけど、首も耳も、脇も足の指も、太ももも二の腕の内側も、未知は弱いところばっかだな。くすぐったいと感じる場所は裏を返せば感じやすい場所だろ?」
彼が愉しげにクスクスと笑い出した。
「くすぐったいのを我慢したら、もっと気持ちよくなれる。全身が性感帯になるかも知れないぞ」
「もぅ、遥琉さんたら」
頬を朱色に染め、これでもかと頬っぺたを膨らませて彼を睨み付けると、
「きみがそうやって可愛い顔をするから、ついつい構いたくなるんだ」
頭をもたげると頬っぺたにちゅっ、とキスをしてくれて。ざらざらした肉厚の舌でペロっと耳朶を舐められ、かぷっと甘噛みされ、
「やぁ……っん」
思わず甲高い声をあげてしまい慌てて口を手で覆った。太惺と心望と陽葵がびくっと体を一回だけ震わせたけど、目を覚ますことはなかった。良かった。太惺と心望はパパのお腹の上で遊ぶのが大好きだから、間違いなく収拾がつかなくなる。
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