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番外編 彼の心配事

ーねぇ、ちょっと声が遠いんですけどー ー俺にかずけっさんなー ぼそぼそと今度は話し声が聞こえてきた。聞き覚えのある声に、それまで穏やかな表情を浮かべていた彼の眉間にどんどん皺が寄っていった。 「は、遥琉さん、急用かも知れないよ」 「こんな夜中にか?」 腕を伸ばし枕元に置いてあるスマホの画面をちらっと覗き込む彼。 「まだ十一時半か。確かに寝るには少し早いかも知れないな。未知使って悪いが、千里になんの用だってメールをしてくれないか?」 「うん、分かった」 子どもたちを起こさないように細心の注意を払いながら、文字を入力し送信ボタンを押した。 その間、彼が大人しくして待っているはずもなく。 大きな手で体の側面を撫でると、太もも、お尻、腰のくびれと、ボティータッチをしてきた。激しい動きに翻弄されまいと、空いている手でガードするも追い付かない。 しばらくいたちごっこを繰り返していると、僕の方が先に力尽きてしまい、スマホを握りしめたまま彼の胸の上でぐったりと動けなくなってしまった。

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