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番外編 彼の心配事
「なんだもう終わりか?」
ぜぇはぁと息を切らす僕を愉しげに見つめる彼。
むすっとして睨むと、
「未知が怒った顔はめったに拝むことが出来ないからな。やっぱり怒った顔も可愛いな」
さらにご機嫌になって、僕の頭を胸の上に乗せたまま、ぽんぽんと優しく背を撫でてくれた。
ー遥琉お兄ちゃんばっかズルイ~~アタシも未知をぽんぽん、撫で撫でしたい‼ー
千里お姉ちゃんの甲高い声が隣から聞こえてきた。
「やっと寝せたんだ。子どもたちを起こしたらただじゃおかねぇぞ」
ーお兄ちゃん、遥琉お兄ちゃんがアタシをいじめるー
「いじめてないだろうが。てか、今何時だと思ってんだ。子供は寝る時間だ」
ーアタシ、子どもじゃないもーんー
「なんか頭が痛くなってきた」
千里お姉ちゃんが相手だとどういう訳か調子が狂う彼。しまいには頭を抱えてしまった。やっぱり橘さんと千里お姉ちゃんは最強の兄妹だ。誰も敵わない。
「で、なんの用だ?」
ー返信したの、読めば分かるわー
「遥琉さん、これじゃないかな?」
急いでスマホを操作し彼に画面を見せた。
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