2386 / 3579

番外編 彼の心配事

「なんだもう終わりか?」 ぜぇはぁと息を切らす僕を愉しげに見つめる彼。 むすっとして睨むと、 「未知が怒った顔はめったに拝むことが出来ないからな。やっぱり怒った顔も可愛いな」 さらにご機嫌になって、僕の頭を胸の上に乗せたまま、ぽんぽんと優しく背を撫でてくれた。 ー遥琉お兄ちゃんばっかズルイ~~アタシも未知をぽんぽん、撫で撫でしたい‼ー 千里お姉ちゃんの甲高い声が隣から聞こえてきた。 「やっと寝せたんだ。子どもたちを起こしたらただじゃおかねぇぞ」 ーお兄ちゃん、遥琉お兄ちゃんがアタシをいじめるー 「いじめてないだろうが。てか、今何時だと思ってんだ。子供は寝る時間だ」 ーアタシ、子どもじゃないもーんー 「なんか頭が痛くなってきた」 千里お姉ちゃんが相手だとどういう訳か調子が狂う彼。しまいには頭を抱えてしまった。やっぱり橘さんと千里お姉ちゃんは最強の兄妹だ。誰も敵わない。 「で、なんの用だ?」 ー返信したの、読めば分かるわー 「遥琉さん、これじゃないかな?」 急いでスマホを操作し彼に画面を見せた。

ともだちにシェアしよう!