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番外編渋川さんと真山さん
「さっきまでの騒々しさはなんだったんだ」
ぽかーんとする彼。
「あ、そうだ。顔を拭かないと。タオルを濡らして持ってくるね」
胸の上から下りようとしたら、
「俺がキスを我慢すればいいだけのことだ。このまま寝よう。未知が腕のなかにいる、それがどれだけ嬉しいか。あったかいから、すごく落ち着く。きみをこうして抱き締めていると不思議と安眠することが出来るんだ。やっぱり気持ちがいいな」
「僕もだよ。遥琉さんの心臓の音を聞いていると、心地よくて、安心して熟睡することが出来るんだ」
「ずいぶんと嬉しいことを言ってくれるじゃねぇか」
優しく笑むと、大きな手が髪を優しく撫でてくれた。あまりの心地よさに、ものの数分でストンと寝てしまった。
翌朝、ぱらぱらと音を立てて降る雨の音で目が覚めた。度会さんの声と、野太く、よく響く声が庭から聞こえていた。
「安眠妨害もいいところだな」
彼が肩までタオルケットを掛けてくれた。
「こんな朝早くからお客さん?」
「宇賀神組の渋川だ。俺に会いに来たみたいだ」
「じゃあ、起きないと」
「七時過ぎに来いと言ったのに二時間も早く来やがった。待たせておけばいい」
「急ぎの用かも知れないよ」
「用があれば馬鹿でかい声で俺のことを呼ぶ」
彼がタオルケットごとぎゅっと抱き締めてくれた。
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