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番外編 渋川さんと真山さん
「兄貴~!兄貴~!」
何度も何度も呼ばれ彼がやれやれとため息をついた。
「朝っぱらからよくまぁ、デカイ声が出るもんだ。頭がガンガンする」
彼がむくっと体を起こした。
「また厄介な男が来た」
急いで着替えを済ませると、ぴょんと跳ねた髪を手で直しながら庭へと向かった。
陽葵を抱っこしながらそっと見ると、長身で男らしい容貌の男が彼の姿を見付けるなり、
「兄貴~~会いたかった!」
人目もはばからずむぎゅーっと抱き付いた。
度会さんは呆れ顔で苦笑いしていた。
「暑苦しいぞ」
「固いことを言うな。俺と兄貴の仲だろう。ん?これは何の匂いだ?」
彼の服に顔を近付けるとくんくんと匂いを嗅いだ。
「ミルクの匂いだろう」
「俺、兄貴のミルクが飲みたい」
「真面目なツラで何を言い出すかと思ったら……出る訳ねぇだろう。俺は男だ」
「やってみなければ分からないだろう」
「あのな渋川……」
彼の深いため息が聞こえてきそうだった。
「未知さん、あぁ見えても彼は宇賀神組の若頭補佐、ナンバー3です。隣にいる若いのが真山さんです」
橘さんが気配もなく姿を現したからびっくりした。
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