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番外編 渋川さんと真山さん

「俺の一存ですぐには決められない。時間をくれ。こっちもいろいろあってな」 「マトリを襲った犯人が銃を所持し逃げ回っているんだろう?」 「そのマトリがここにいるんだよ」 「だからか、厳重な警備体制を敷いているのは。兄貴を驚かせようと組事務所に顔を出したんだが、暑苦しくてむさ苦しい野郎しかいなくて、がっかりした」 「そうか、それは悪いことをしたな」 「でもこうして会えたから良かった」 渋川さんが彼の肩に抱き付くと、嬉しそうに顔をすり寄せた。 「渋川はフーと同じで強い男が好みなんだ。姐さん、真山を見てみろ。何か感じないか?」 柚原さんに言われ、渋川さんの後ろに控える真山さんをチラッと見ると、眉をつり上げ、鬼のような形相で彼をじろりと睨み付けていた。鈍感な僕でもピンと来た。真山さんが彼に嫉妬しているということに。 「敵味方関係なく関わった男たちを虜にしてしまうオヤジはある意味罪な男です。渋川もオヤジにぞっこん惚れ込んでいる」 柚原さんにどう言葉を返していいか分からなくて。とりあえず笑って誤魔化した。

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