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番外編渋川さんと真山さん

「確か千景は薬科大学を卒業し、警察官になったはず………あれ?そういえば薬剤師の資格を持つキャリアの警察官が実務経験を積むためにマトリに出向しているって小耳に挟んだことがあるな。まさかだと思うが、千景のことか?」 「アタシのことは全然覚えていない癖に、ずいぶんとまぁ詳しいのね」 「彼がおやっさんの愛弟子だからだよ。おやっさんは将来有望の彼を高く評価していたからな」 「ねぇちょっと!話しを逸らないで。アタシ、これでもめっちゃ怒っているんだからね」 「だから、さっきから謝っているだろう。この通りだ機嫌を直してくれ」 渋川さんは胡座から正座に座り直すと、チカちゃんが許してくれるまでひたすら平身低頭で謝り続けた。 「なんかムカつく。兄貴、その女とも寝たのか?」 一言も発せず仏頂面で座っていた真山さんがぼそっと一言呟いた。 「だからなんでそうなる」 ぷいっとそっぽを向くと、真山さんはすっと立ち上がり、広間を出ていってしまった。 「追い掛けなくていいの?」 チカちゃんが心配顔で渋川さんに声を掛けた。 「ヤツが機嫌が悪いのはいつものことだ。ほっといていい。兄貴、ほとんど寝ていないので車の中で寝てきます」 素っ気なく答えると渋川さんも広間を出ていった。

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