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番外編 正夢
まるでチカちゃんを引き留めるかのように外まで響く大きな声で幸ちゃんが突然泣き出した。太惺と心望もビックリして泣きはじめた。
「どうしたの幸ちゃん。たいくんもここちゃんも」
チカちゃんがバックを下に置いて幸ちゃんを抱き上げてくれた。
「一人で三人いっぺんは無理~~腰痛くなっちゃう~~」
太惺と心望を抱き上げようとしたら、泣きながらスルリと腕をすり抜け、なぜか根岸さんのところに行った。
「伊澤に焼きもちを妬かれっぺした。あやまったな」
と言いながらも、根岸さんは嬉しそうに二人を抱き上げてくれた。
「二日連続でチカお姉ちゃんが撃たれる夢を見たそうですよ」
泣き声に気付いた橘さんがすぐに駆け付けてくれた。
「橘、その話し詳しく聞かせてくれないか?」
根岸さんが身を乗り出した。
「紫さんから聞いた話しですので、私も詳しいことまでは知りませんが、頬に傷がある男がチカちゃんの後ろの席に座ると、何か黒いものを取り出して、座席と座席の隙間からバンバンと二回撃った。そんな夢だそうです」
「子どもは不思議な力を持っているとよく言うだろう。正夢かも知れない。チカ、一本遅らせることは可能か?」
「ダーリンに電話を掛けてみる」
とは言ったものの幸ちゃんがしがみついていてバックからスマホを取り出すことも出来ず。
「未知、悪いけどアタシの代わりに電話を掛けてくんない」
「えぇ~~!僕ですか?」
「未知ならダーリン喜んで電話に出るわ」
チカちゃんに頼まれて代わりに国井さんに電話を掛けた。どきどきして、緊張して落ち着かなかった。
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