2401 / 3491

番外編 正夢

「もしもし、国井さんですか?」 ーその声は未知か?どうした?ー 「チカちゃん、子どもたちに掴まってて今から急いで駅に向かっても間に合わないと思うんです。なので一本遅らせても大丈夫ですか?」 ーこれは誰の泣き声だ?ー 「太惺と心望と幸ちゃんです」 ーチカは相変わらずモテモテだな。子ども相手に焼きもちを妬いても仕方がないんだが、分かった。一時間後に出発する新幹線に乗るようにチカに伝えてくれないか?ー 「必ず伝えます」 電話を切ろうとしたら、 ー宇賀神組の若頭が東京に行くと見せかけてそっちに向かったと甲崎から聞いた。俺のチカを襲った犯人の一人はまだ捕まっていない。だからなにかあったんじゃないか心配で……ー 「別にたいしたことじゃない」 根岸さんが代わりに答えてくれた。 ーじゃあ聞くが、楮山組の直参の組が石山を裏切り、昇龍会に寝返ろうとしている。これもただの噂か?ー 「さぁーな。オヤジに直接聞いたらどうだ?」 電話を切るように根岸さんに目で指示され言われるまま電話を切った。 「国井と渋川は仲がいいんだが、犬猿の仲なんだがいちまちよく分からない。石山と上田は相変わらず狸と狐の化かしあいをしているみたいだし、余計なことは言わないほうがいい」 根岸さんに言われ頷いた。

ともだちにシェアしよう!