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番外編 槙島さん

「人妻もうひとりめっけ」 槙島さんが僕を見てニヤリと笑った。 その直後、ふわりと体が宙に浮いて。気付いたときは青空さんにお姫様抱っこをされていた。 青空さんはくるっと半回転すると、槙島さんに背を向けた。 「姐さんにそれ以上近付くな。見るのも禁止」 青空さんは首を捻り後ろを見ると、槙島さんを睨み付けた。 「青空の言う通りだ。姐さんに指一本でも触れてみろ。たとえ客人でも容赦はしない」 「おーこわー」 槙島さんの声は聞こえるけど、顔が見えないからどんな表情をしているのか分からなかった。 「あらかじめ忠告しておく。青空とハチは妻専属の弾よけだ。敵に回さないほうが身のためだぞ」 「弓削とどっちが強い?甲乙つけがたいか?」 「俺は比べるのも比べられるのも大嫌いだ。そんなので男の価値を決めるなど甚だしいにも程がある」 「渋川がお前に惚れ込む理由、なんとなく分かったような気がする。お前らぼさっとすんなっ!ばかやろう、はやく、さっさと来い!」 槙島さんの怒声に、渋川さんと真山さんが「はい!」声を揃えて大きな声で返事をした。 「K駅前の繁華街に人妻専用デリヘルはあるかといきなり聞かれ、若い衆が返答に困ってました。謝りにきたのか、ただ単に羽を伸ばしに来たのか分かりません。青空さん、未知さんを下ろしても大丈夫ですよ」 「安全が確認出来ないから駄目だ」 青空さんが首を横に振った。

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