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番外編思わぬ本音

洗面所を出ると今度は蜂谷さんが待っていた。 「目は大丈夫か?まだ痛いだろう?手で擦らない方がいいぞ」 「ありがとう蜂谷さん」 「それは?」 「森崎さんから、槙島さんたちの取り扱い説明書みたいです」 「森崎は宇賀神組のことを一番よく知っているからな。なくさないように大事にしなきゃな」 「はい」 蜂谷さんがあたりをキョロキョロと見回したあと、手をズボンでごしごしと拭いた。 「姐さんひとつ頼みがある。聞いてもらえるか?」 「僕で出来ることなら……」 蜂谷さんが小さくガッツポーズをしたのが分かった。 「姐さんを抱っこしたんだ。ハチ、お前よりより先にだ。いいだろう。自慢ばっかして。しゃくにさわる男だ」 森崎さんのことかな? 普段あまり感情を表に出さない蜂谷さんが珍しく苛立っていた。 「覃さん特製の塩胡椒をまともに食らったから、服とかにまだついているかも」 「焼きもち妬きのオヤジもいない青空もいない。千載一遇のチャンスを見逃せと?それだけは絶対に断る」 蜂谷さんの大きな手が腰に触れてきて。次の瞬間にはふわりと宙に浮いていた。

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