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番外編 譲治さんの悲しい過去
「肝心なときになんでアイツはいつもいないんだ」
青空さんはぶつぶつ文句を言いながらも、譲治さんを浴用椅子に座らせ足を洗ってあげたりと、なんだかんだ言いながらも面倒を甲斐甲斐しくみてくれた。
「足の裏に奈梛と同じ痕がある。煙草を吸うのか?」
「……」
急に押し黙る譲治さん。
「初めて見たとき、なんで右足の小指だけ小さいのかずっと気になっていた。根性焼きされて小指を詰められたのか?九鬼や楮山ならやりかねない。酷いことばかりするな」
「もう痛くない」
「古い傷だ。それは見れば分かる」
青空さんが自分の胸を指差した。
「心に受けた傷はそう簡単に癒えない。体を押さえ付けられ、刺青をされたときのあの痛み、いまもふとした瞬間に思い出すことがある。死にたくなかったから言うことを聞くしかなかった。譲治は偉い」
「偉い?なんで?」
不思議そうに首を傾げた。
「俺は自分を守るだけでいっぱいだった。譲治は俺と違う。自分だけじゃなく弟と妹をちゃんと守ってきただろう。だから偉いと言ったんだ。姐さんがタオルを持ってきてくれたぞ。ちゃんとありがとうを言うんだぞ」
「譲治さんどうぞ」
笑顔でタオルを差し出した。
「ありがとう」
手で受け取ってくれるものだと思ったていたら、なぜか片足を上げた。
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