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番外編 母の温もり

「この状況でまさか寝るとはな。太惺もそうだが、寝ると重くなるからな。ハチ、国井、チカ、誰でもいいから早く来てくれ。姐さんがつぶれてしまう」 青空さんが助けを呼ぶと柚原さんと蜂谷さんが駆け付けてくれた。 「寝たふりじゃないのか?」 「足の指をこちょこちょしても起きない。さっきまでくすぐったいと騒いでいたのに。一分もかからず寝た」 「よほど眠かったのだろう」 蜂谷さんと柚原さんが譲治さんの体を起こそうとしたら嫌だ、嫌だと言わんばかりに首をぶんぶん振って僕の体にぎゅっとしがみついてきた。 短い髪をそっと撫でると嬉しそうににこっと譲治さんが笑った。 「もしかしたら僕をお母さんだと思い込んでいるのかも知れない」 「蜂谷さん、柚原さん、オヤジが来ます!」 外で見張りをしていた若い衆の声が聞こえてきた。 「恨むなら焼きもち妬きのオヤジを恨め。ハチ、いっせーのでで離すぞ」 「分かった」 柚原さんと蜂谷さんが二人がかりで譲治さんを僕から引き離した。

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